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フロリダ・ジャクソンビルのハリケーン事情

フロリダと聞くと、「ハリケーンが多くて大変なのでは?」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

確かに、フロリダ州は全米でもハリケーンの影響を受けやすい州のひとつです。大西洋側のハリケーンシーズンは、毎年6月1日から11月30日まで。特に8月から10月に活動が活発になる傾向があります。

しかし、同じフロリダ州でも、ハリケーンのリスクは地域によってかなり違います。

私たちが暮らすJacksonville(ジャクソンビル)を含む北東フロリダは、Miami、Florida Keys、フロリダ南西部、Panhandleなどと比較すると、歴史的にハリケーンの直接上陸が少ない地域です。

実はハリケーンの「直撃」が少ないジャクソンビル

NOAA(米国海洋大気庁)の過去の統計を見ると、フロリダ南部ではハリケーンの上陸頻度が高く、Miami-Dade Countyでは平均的な再来期間が約5年とされた研究があります。一方、北へ行くにつれてその間隔は長くなり、北東フロリダのNassau Countyでは約32年とされています。

Jacksonville周辺で特に有名なのが、1964年のHurricane Dora(ハリケーン・ドーラ)です。

Doraは1964年9月に北東フロリダへ上陸し、Jacksonvilleにも大きな被害をもたらしました。米陸軍工兵隊の資料では、Doraは20世紀に北東フロリダを直接襲った唯一のハリケーンとされています。

つまり、South FloridaやFlorida Keysなどと比較すると、Jacksonvilleは歴史的に「大型ハリケーンの中心が直接通過する」ケースがかなり少ない地域なのです。

ただし、これは「ハリケーンの被害が絶対にない」という意味ではありません。

直撃しなくても注意したい「水」の被害

Jacksonvilleでハリケーン対策を考えるとき、風だけでなく特に気をつけたいのがStorm Surge(高潮)とFlooding(洪水・浸水)です。

2016年のHurricane MatthewはJacksonvilleに直接上陸しませんでしたが、北東フロリダ沿岸部では高潮、強風、浸水などの被害が発生しました。National Weather Service Jacksonvilleも、Matthewによる地域の洪水・高潮被害を記録しています。

さらに印象的なのが、2017年のHurricane Irmaです。

Irmaの中心はJacksonvilleを直撃していません。しかし、St. Johns River周辺では非常に大きな高潮が発生し、Downtown Jacksonvilleでは記録的な浸水となりました。National Weather Serviceによると、Downtown JacksonvilleのSt. Johns Riverでは約5.57フィートのstorm surgeが記録され、1964年のHurricane Doraの記録を上回りました。

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Jacksonvilleは大西洋だけでなくSt. Johns Riverや多くの水路がある街です。そのため、不動産を購入するときは「Jacksonville全体が危険か安全か」ではなく、その物件がどのFlood Zoneにあるのか、標高はどうか、川や海からどのくらい離れているかを見ることが非常に重要です。

ハリケーンと日本の台風、何が違うの?

実は、ハリケーンと台風は、気象学的には基本的に同じ「熱帯低気圧」です。

発生する場所によって呼び方が違います。

北西太平洋・南シナ海では「Typhoon(台風)」、大西洋や北東太平洋では「Hurricane」、インド洋や南太平洋などでは「Cyclone」と呼ばれます。

アメリカでは、ハリケーンの強さをCategory 1~5のSaffir-Simpson Hurricane Wind Scaleで表示します。Category 3以上が「Major Hurricane」と呼ばれます。なお、このCategoryは基本的に「風の強さ」を表すもので、雨量や洪水、高潮の大きさを直接示すものではありません。

日本とのもうひとつの違いは、風速の計測基準です。気象庁の台風情報では最大風速を10分間平均で表すのに対し、米国のSaffir-Simpson Scaleでは1分間平均の最大持続風速が使われます。そのため、日本の「最大風速○m/s」とアメリカのCategoryを単純に数字だけで比較しない方がよいでしょう。

アメリカのHomeowner’s Insuranceと日本の火災保険の違い

日本から来られた方が驚かれることのひとつが、住宅保険の仕組みです。

アメリカの一般的なHomeowner’s Insuranceは、日本でいう「火災保険」よりも幅広い内容をひとつのパッケージにした保険と考えると分かりやすいでしょう。

一般的なHomeowner’s Insuranceには、住宅そのものの補償、家財、第三者に対するPersonal Liability、住宅が一時的に住めなくなった場合のAdditional Living Expensesなどが含まれます。

一方、日本の火災保険も「火災だけの保険」ではなく、契約内容によって台風による風災、落雷、雪災、洪水などの水災を補償できます。台風で屋根が飛んだ、といった風災は一般的な補償対象になり得ますが、洪水については水災補償が付いているかどうかを確認する必要があります。地震・噴火・津波による損害については、原則として別途「地震保険」が必要です。

そして、フロリダで特に重要なのがFlood Insurance(洪水・浸水の保険)です。

アメリカの一般的なHomeowner’s Insuranceでは、ハリケーンの「風」による損害が補償対象になっていても、地面から水が入ってくるFlood(洪水・浸水)による損害は原則として補償されません。Flood Insuranceは通常、Homeowner’s Insuranceとは別の保険になります。実はこのFlood Insuranceがすごく高いんです!日本で保険会社に長年勤めていた身としては「Flood Insurance必須でしょ。」と見積もりをとったところ、あまりの高さにびっくりしたことを覚えています。

またフロリダでは、契約によって通常のDeductible(免責額)とは別に、ハリケーン被害に適用されるHurricane Deductibleが設定されていることがあります。この免責額もしっかりと確認しておく必要があります。日本だと多くても10万円とかですが、アメリカでは5,000ドルの免責金額が設定されていることもざらです。ただ、免責金額を下げると言わずもがな保険料は上がりますよね。

そのため家を購入するときには、保険料だけを比較するのではなく、

  • Wind/Hurricane Coverageが含まれているか
  • Hurricane Deductibleはいくらか
  • Flood Insuranceが必要か
  • Flood Zoneはどこに該当するか
  • 屋根の年数や状態
  • Wind Mitigation Inspectionで保険料が下がる可能性があるか

などを確認することが大切です。
(Homeowner’s Insuranceについてはまた別の機会に詳しくお伝えしたいと思います)

ハリケーンが来る前にしておきたい住宅の備え

大きなハリケーンが来る直前になって慌てないためにも、普段から準備しておくことをおすすめします。

屋根や雨どいの状態をチェックし、庭の木の枝を整えておくこと。外にある家具やBBQグリルなど、強風で飛ぶ可能性があるものを屋内に移動できるようにしておくこと。窓についてはHurricane ShutterやImpact Windowの有無を確認しておくことも重要です。

また、停電に備えて懐中電灯、モバイルバッテリー、飲料水、保存食などを用意し、車のガソリンも早めに入れておきましょう。

そして何より、「自分の家がFlood ZoneやEvacuation Zoneのどこにあるのか」を事前に知っておくことが重要です。

こちらのWebsiteから

FEMA’s National Hazard Layer
(こちらのWebsiteから調べることができます)

2026年のハリケーンシーズンは?

2026年8月6日に発表されたNOAAの最新予測では、今年の大西洋ハリケーンシーズンについて、平年を下回る確率が75%とされています。ただしNOAA自身も、この予測は大西洋全体の活動量を示すものであり、Jacksonvilleなど特定の場所への上陸を予測するものではない、と強調しています。活動の少ない年であっても、一つのStormが大きな被害をもたらす可能性はあります。

Jacksonvilleは「フロリダの中では災害リスクが比較的低い」という魅力も

フロリダで暮らす以上、ハリケーンへの備えをゼロにすることはできません。

Jacksonvilleでも過去に高潮や洪水の被害は起きていますし、海沿いや川沿い、低地ではFlood Riskをしっかり確認する必要があります。

ただ、長い歴史を振り返ると、Jacksonvilleを含む北東フロリダは、Miami、Florida Keys、Southwest Florida、Panhandleなどと比較して、ハリケーンが直接上陸する頻度が低い地域です。

そのため私は、Jacksonvilleの魅力をお伝えするとき、「フロリダなのにハリケーンが来ない街」とは言いません。

むしろ、

「フロリダらしい温暖な気候や海のある生活を楽しみながら、州内の他の主要エリアと比較すると、大型ハリケーンの直撃を含む大規模な自然災害の被害が比較的少ない地域」

というのが、Jacksonvilleを表すより正確な言い方だと思います。

もちろん物件ごとのFlood Zone、建物の構造、屋根の状態、保険料などによってリスクは大きく変わります。

Jacksonvilleで住宅購入をご検討されている方には、家のデザインや価格だけではなく、Flood Zoneや保険、ハリケーン対策まで含めて物件を選ぶことをおすすめします。

Jacksonvilleでの住宅購入、エリア選び、Flood Zoneなどについてご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。


※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、保険・法律・税務上のアドバイスではありません。保険の補償内容や保険料は物件・保険会社・契約内容によって異なりますので、具体的な内容についてはLicensed Insurance Agent等にご確認ください。